欧米化で体形がずいぶんと大きく変化してきた頃、子どもサイズの洋服では間に合わない、でも大人ものでは可愛くないという声をたくさん聞いたのです。それならば、お母さんの嫁入りの時のきものを着せてはどうか？と提案したのが始まりです。時は2000年あたり、小学校の卒業式に着物を着せるなんて、どこでも見ない光景でした。

でも、三陸地方の綾里小学校は入学式に児童が全員きものに袴で列席するというモデルがありました。とても小さな小学校で、七五三の衣装がもったいないということから、1960年代あたりから自然発生的に始まったことらしいのです。その姿があまりにかわいくて、うらやましくて仕方ありませんでした。子ども時代のきもの姿をもっともっと見たいという想いと、卒業に着る洋服がない！という話が結びつき、袴のレンタルを始めました。

小学校の卒業式に着物で！という呼びかけは5年ほどで実を結びました。家族中がメロメロになるかわいらしさです。そして何より、衣装は心を表します。いつもの装いではなく、きちんと改めることで敬意を表現できるのですから、これ以上の式服はありません。
気仙沼の小学校では、約8割の女子がきもので列席します。今では男の子にも波及しています。
東日本大震災はまさしく、その卒業式の前日でした。その翌年、全国に小学校の卒業式に袴で列席している子どもたちがあらゆるメディアで報道され、今では全国的にみられる光景になっています。

おばあちゃんが、お母さんがその子の成長を願って本裁ちのきものを作ってあげるというストーリーも忘れてはいけません。

大船渡市立綾里小学校HPより